音楽理論
THE JAZZ THEORY BOOKという本にスケールは、
与えられたコードに対して演奏するために利用可能な音の集積
(出典:THE JAZZ THEORY BOOK by Mark Levine ATN,inc. ISBN978-4-7549-3078-3 p.30)
と記されています。ここではエレキベースを演奏する時に最低限覚えておきたいコードとスケールの機能や役割について説明します。
12音の分類 インサイドとアウトサイド
エレキベースのフレットは1オクターブを12等分した半音間隔で整然と並んでいます。適当に押さえながら弾いてもなかなかメロディックな感じになりません。どちらかというと前衛的になりがちです。
これに対してピアノの場合、白鍵にCメジャーの音階が割り当てられていて白鍵だけで適当に弾くとなんとなく音楽的な雰囲気になります。
エレキベースにはピアノの白鍵と黒鍵のような構造がないので、ドレミファソラシドの位置をしっかり覚えることがとても重要になります。このドレミファソラシドはCメジャースケールのインサイドの音と呼ばれるもので、このインサイドの音を利用することでコードと調和のとれた心地よい旋律を弾くことがでるようになります。
インサイドの音はコードスケール上の機能によってコードトーン、テンション、アボイドノートに分類されます。この分類はあまり気にする必要はありません。インサイドの音は分け隔てなく全て使えると覚えておいた方がベースラインやソロを演奏する時に自由度が増します。
アウトサイドの音はより高度なベースラインの弾くために活用されるスケール外の音です。経過音や装飾音として使われます。ベースラインやソロを演奏する時は主にインサイドの音を使いますが、アウトサイドの音を使ってはいけないということではありません。重要なのはインサイドの音とアウトサイドの音をしっかり意識しながら使うことです。
主要16スケールの種類
ジャズやポピュラーミュージックで使われる主要なスケールは16種類です。それらは構成音や機能によってダイアトニックスケール、サブドミナントマイナースケール、ドミナントスケールの3つに大分類できます。
習うより慣れろということで、各スケールの細かい解釈は後回しにして、ここでは、スケールの名前、分類、機能、相互関係を大雑把に理解しましょう。
それぞれのスケールの持ち味や細かい解釈は実際のスケール練習をやりながら、左手ポジションや運指とセットで覚えましょう。
ダイアトニックスケールとは
ドレミファソラシドの各音階から始まるスケールを総称してダイアトニックスケールと呼びます。チャーチモード(教会旋法)と呼ばれることもあります。各スケールにはその開始音をルートとしたコードが対応します。これらのコードを総称してダイアトニックコードと呼びます。
<音階> | <スケール> | <コード> | <機能> |
ドレミファソラシド | イオニアンスケール(メジャースケール) | IM7 | <T>トニック |
レミファソラシドレ | ドリアンスケール | IIm7 | <SD>サブドミナント |
ミファソラシドレミ | フリジアンスケール | IIIm7 | <T>トニック |
ファソラシドレミファ | リディアンスケール | IVM7 | <SD>サブドミナント |
ソラシドレミファソ | ミクソリディアンスケール | V7 | <D>ドミナント |
ラシドレミファソラ | エオリアンスケール(マイナースケール) | VIm7 | <T>トニック |
シドレミファソラシ | ロクリアンスケース | VIIm7b5 | <D>ドミナント |
サブドミナントマイナースケールとは
サブドミナント(IVM7)の長三度を半音下げてマイナー化にしたものをサブドミナントと呼びます。スケール上はラとシを半音下げて使います。
<音階> | <スケール> | <コード> | <機能> |
レミファソラbシbドレ | ロクリアン#2 | IIm7b5 | <SDm>サブドミナントマイナー |
ファソラbシbドレミファ | メロディックマイナー | IVmM7 | <SDm>サブドミナントマイナー |
オルタードテンション・ドミナントスケールとは
ミクソリディアンスケールのテンションを半音変化させた音を含むドミナントスケールのことを指します。ドミナントコードではテンションを変化(Altered)させた様々な派生スケールが使われます。
<音階> | <スケール> | <コード> | <機能> |
ソラシド#レミファソ | リディアン7 (メロディックマイナー#4モード) | V7(9,#11) | <D>ドミナント |
ソラシドレミbファソ | ミクソリディアンb6 (メロディックマイナー#5モード) | V7(9,b13) | <D>ドミナント |
ソラbラ#シド#レミファソ | Combination o Diminished | V7(b9,#9,#11,13) | <D>ドミナント |
ソラシド#ミbファソ | ホールトーン | V7(9,#11,b13) | <D>ドミナント |
ソラbシドレミbファソ | Harmonic Minor P5 Below | V7(b9,b13) | <D>ドミナント |
ソラbラ#シドレミbファソ | Spanish 8 notes | V7(b9,#9,b13) | <D>ドミナント |
ソラbラ#シド#ミbファソ | オルタード (メロディックマイナー#7モード) | V7(b9,#9,#11,b13) | <D>ドミナント |
その他のスケール
上記の他にペンタトニック、ブルーススケールなど様々なスケールがあります。
コードスケール一覧表
これまで紹介してきたコードスケールをCメジャーキーでまとめました。構成音で分類するとダイアトニックスケール1種類、サブドミナントスケール1種類、オルタードテンション・ドミナントスケール7種類になります。派生スケールも含むと、ひとつのキーの主要スケールは16種類になります。
まとめ
音楽理論は音楽の構造や手法を理論立てて説明するもの(Wikipedia)で、音楽を解釈したり、分析したり、構成したり、書き留めたりする時に非常に役立ちます。音楽理論は音楽や演奏技術そのものではありません。言葉の読み書きの部分に相当します。まだ言葉がしゃべれない赤ちゃんが読み書きできないのと同様に、まだスケールがちゃんと弾けないのにスケールの理論を理解して使いこなすことはできません。演奏ができるようになれば音楽理論の意味がわかるようになります。
スケールの大分類を覚えたら次のスケール練習に進みましょう。スケール練習をしながら音楽理論の内容も振り返ってみてください。
次のスケール練習ではキー毎に16のエクササイズが準備されています。全12キートータルで192種類のスケールを習得するのがゴールになります。
一つのスケールは1オクターブに6〜9音で構成されます。2オクターブ12〜18音のアップ/ダウンの練習したとしても10秒程度あればできます。主要16スケールを1回づつ弾くのに3分程度しかかかりません。滑らかに弾けるようになるまで何回も反復練習が必要になりますが、根気強く続ければ誰でもゴールに到達できると信じています。
ふむふむ、
理論もなんとなくわかった気がする。
さあ、練習だ!!
つぎは「スケール練習」です。